Vol.25

妊娠中のお風呂をもっと心地よく。入浴剤のメリットと選び方まとめ【医師監修】

  • 2025.9.19
  • m.i journal vol.25
  • コラム

阿部 一也さん産婦人科専門医

東京慈恵会医科大学医学部医学科を卒業後、板橋中央総合病院に勤務。現在、同院産婦人科医長を務める。産婦人科領域における幅広い臨床経験を有し、妊娠・出産の周産期医療から婦人科疾患の診療、内視鏡手術まで多岐にわたり診療に携わってきた。確かな臨床力と丁寧な診療を基盤に、安全で信頼性の高い医療を提供。

妊娠中のお風呂、入浴剤を使っても大丈夫かな…と不安に感じたことはありませんか?体調や肌の変化が起こりやすいこの時期は、なるべく安心できるアイテムを選びたいですよね。本記事では、妊娠中でも使いやすい入浴剤の選び方や成分、お風呂で気をつけたいことまでわかりやすくご紹介します。読み終えたあとには、自分に合った方法で心も体も整えられるバスタイムの過ごし方がきっと見つかるはずです。

妊娠中でも、基本的には入浴剤を使ってOKです。ただし、妊娠中は肌が敏感になりやすいため、刺激の少ないものを選ぶことが大切です。うまく取り入れれば、冷えの緩和やリラックスにもつながり、毎日のバスタイムが心地よいひとときになります。 成分や使い方に気をつけながら、自分の体調に合ったものを選んでみましょう。

妊娠中の肌にやさしい成分を選ぶ

妊娠中はホルモンバランスの変化で肌がデリケートになりがちです。そのため、入浴剤を選ぶときは低刺激で保湿力のある成分に注目しましょう。例えば、セラミドやアロエベラ、天然由来のオイル成分などは肌をやさしく包み込み、乾燥を防いでくれます。逆に、合成香料や着色料、アルコールが多く含まれるものは刺激になることもあります。肌トラブルを避けるためにも、成分表をチェックして慎重に選ぶのが大切です。

妊娠初期と後期で異なる影響に注意する

妊娠初期はつわりや体調の不安定さが目立ちやすく、香りや熱さに敏感になる方も少なくありません。一方、後期になるとお腹が大きくなり、転倒リスクやのぼせやすさが増してきます。どちらの時期も無理せず、自分の体調に合わせて入浴のスタイルを調整しましょう。例えば、初期は香りの控えめなものを選び、後期は短時間の入浴とぬるめのお湯を心がけると安心です。時期ごとの体調の変化を理解しながら、バスタイムを楽しんでください。

妊娠中に入浴剤を使うメリットとは

妊娠中でも入浴剤をうまく活用すれば、心と体のケアにつながります。体調に合わせて使えるアイテムを選べば、妊娠中でもお風呂時間を楽しめるようになります。ここでは、入浴剤がもたらす主なメリットについて具体的に見ていきましょう。

リラックス効果でストレス軽減

妊娠中は、知らず知らずのうちに心が緊張しやすくなる時期。入浴剤に含まれるやさしい香りは、副交感神経を優位にし、気持ちを落ち着けてくれます。オレンジやグレープフルーツなどの柑橘系の香りや、甘さのあるフローラル系の香りなどを選ぶとよいでしょう。お気に入りの香りに包まれる時間は、毎日の小さなご褒美にもなります。

血行促進でむくみを和らげる

妊娠中は下半身の血流が滞りやすく、脚のむくみが気になる方も多いでしょう。入浴剤には温浴効果を高める成分が含まれていることが多く、体を芯から温めて血の巡りをよくしてくれます。炭酸ガス系の入浴剤は特に血流促進に優れており、湯上がり後もぽかぽか感が持続しやすいです。日中のだるさを感じた日に湯船に浸かることで、脚の重さが軽くなるのを実感できるでしょう。

保湿効果で肌の乾燥を防ぐ

妊娠中は肌が乾燥しやすく、かゆみやつっぱり感に悩む方も少なくありません。そんなときは、保湿成分を含んだ入浴剤を取り入れるのがおすすめです。特にセラミドやアロエベラ、ヒアルロン酸などの保湿成分は、バリア機能の低下した妊娠中の肌にもやさしく働きかけてくれます。入浴とスキンケアを同時に叶えられるのは、忙しい妊婦さんにとっても嬉しいポイントです。

妊娠中の入浴剤の選び方

妊娠中に使う入浴剤は、肌や体にやさしいものを選ぶことがとても大切です。低刺激で安心して使える成分かどうか、香りや保湿力にも注目しましょう。成分表示や口コミを参考にしながら、自分に合ったアイテムを見つけるのがポイントです。ここでは、妊娠中の入浴剤選びで押さえておきたい5つのポイントをご紹介します。

低刺激で肌への負担が少ないものを選ぶ

妊娠中は肌が敏感になり、かゆみや赤みが出やすくなります。そのため、刺激の少ない処方の入浴剤を選ぶことが大切です。特に、合成界面活性剤やアルコールなどの成分は、肌の乾燥や刺激につながることがあります。敏感肌用や赤ちゃん向けの表示があるものがおすすめです。購入前にパッケージの成分表示をチェックし、なるべく刺激の少ないものを選びましょう。

無添加・天然由来の成分に注目する

成分にこだわるなら、無添加や天然由来の入浴剤を選ぶのも一つの方法です。保存料や着色料、合成香料が入っていないものは、肌トラブルを防ぎやすく安心感があります。保湿成分としては、ホホバオイルやシアバター、植物性スクワランなどが、乾燥しがちな肌をやさしく包み込んでくれます。アロエベラも外用として使われることが多い成分ですが、内服では避けるべきとされているため、取り入れる際は目的や使い方に注意が必要です。自然由来の成分表示がある商品を中心に選ぶと、毎日の入浴がより心地よいものになります。

香りは穏やかでリラックス効果のあるものを選ぶ

妊娠中は匂いに敏感になりやすく、強い香りは、匂いに敏感になっている時期にはつらく感じることがあります。そのため、人工的な香料ではなく、自然でやさしい香りを選ぶことが大切です。おすすめは、気持ちを明るくしてくれる柑橘系の香りと、穏やかに気分を落ち着けてくれるフローラル系の香りです。

  • 柑橘系(スイートオレンジ、グレープフルーツ、ベルガモット、マンダリン、レモンなど)

爽やかさが特徴で、気分転換やリフレッシュしたいときにぴったりです。

  • フローラル系(ネロリ、フランキンセンス、パルマローザ、ローズウッドなど)
    やさしく包み込むような香りが、緊張や不安をやわらげてくれます。

 

香りの好みは体調によっても変化するため、できれば実際に試してから選ぶのが理想です。心地よいと感じる香りを選ぶことが、日々の入浴をよりくつろげる時間にしてくれます。

保湿成分がしっかり含まれているか確認する

乾燥が気になる妊娠中の肌には、保湿力も重要なチェックポイントです。入浴後の肌がつっぱる、粉をふくといった悩みがある方は、保湿成分入りの入浴剤を選びましょう。セラミド・ヒアルロン酸・アミノ酸などは、肌のうるおいを保つ働きがあります。パッケージに記載された保湿成分を確認し、継続して使えるかどうかも判断材料にするとよいでしょう。

実際の使用者から評価の高い商品を参考にする

入浴剤を選ぶとき、他の妊婦さんや敏感肌の方のレビューを参考にするのも有効です。特にSNSや口コミサイトでは、使用感や香り、肌へのやさしさについて詳しく書かれていることがあります。ランキングサイトや妊婦向けの情報誌もチェックしてみましょう。自分の肌質や好みに似た人の意見を探せば、失敗の少ない選び方ができます。

妊娠中に取り入れたい入浴剤の成分

妊娠中の入浴剤を選ぶ際は、肌にやさしく作用しつつ、リラックス効果や保湿力のある成分に注目すると安心です。敏感になりがちな妊婦さんの肌や心に働きかける成分を取り入れれば、お風呂の時間がより快適になります。ここでは、妊娠中におすすめしたい入浴剤の成分について詳しくご紹介します。

セラミドで保湿力を高める

セラミドは、肌のうるおいを保つために欠かせない成分です。妊娠中はホルモンの影響で乾燥しやすくなるため、保湿力の高い入浴剤が役立ちます。セラミド配合の入浴剤は、肌のバリア機能をサポートし、入浴後のつっぱり感を軽減してくれます。特に乾燥によるかゆみが気になる方は、セラミド入りを選べば肌トラブルを防ぎやすいです。毎日のバスタイムに、肌にうるおいを与えるケアをプラスしましょう。

フランキンセンスで呼吸と気持ちを整える

フランキンセンスは、落ち着いた樹木系の香りが特徴の植物成分で、呼吸を深く整える作用があるといわれています。妊娠中は気分が不安定になったり、イライラが続いたりすることもありますが、やわらかく広がる香りが気持ちの切り替えをサポートしてくれます。入浴剤に含まれていれば、湯気とともに香りが広がり、自然と呼吸が深くなるような心地よさを感じられるでしょう。

パルマローザで肌と心のバランスをサポート

パルマローザはやわらかな甘さを含んだフローラル調の香りで、皮脂バランスを整える作用があるとされています。妊娠中はホルモンの影響で、肌がかさついたり部分的にべたついたりと、バランスを崩しやすいです。パルマローザが配合された入浴剤を選べば、香りに癒やされながらスキンケアのサポートもでき、肌と心の両方を整えることができます。

無添加で肌への刺激を軽減する

妊娠中の肌は敏感になりやすく、少しの刺激でもかゆみや赤みが出ることがあります。そんな時は、無添加処方の入浴剤を選ぶと安心です。具体的には、合成香料・着色料・保存料などが含まれていない商品を選びましょう。成分表に「無添加」や「敏感肌向け」と書かれているものは、肌への負担が少ない設計になっています。安心して入浴を楽しむためにも、できるだけ刺激の少ないものを選びたいですね。

アロエベラの保湿成分で乾燥を防ぐ

アロエベラは昔からスキンケアに使われてきた植物で、保湿や鎮静作用があります。入浴剤に含まれていると、肌にしっとりとしたうるおいを与えてくれます。妊娠中の乾燥肌やかゆみ対策にも効果的で、外用として取り入れる分には使いやすい成分です。なお、アロエベラは内服では避けるべき成分とされているため、目的や使用方法には注意しましょう。お風呂あがりのスキンケアの手間を減らしたい方にも向いており、毎日のお風呂習慣をより快適にしてくれます。

妊娠中にお風呂に入るときに気をつけること

妊娠中の入浴はリラックスできる時間ですが、注意すべき点もあります。体調や環境によっては、思わぬ不調につながることもあるため、無理のない範囲で安全に楽しむのが大切です。お湯の温度や入浴時間、転倒防止、水分補給など、基本的なポイントを押さえておけば、安心してお風呂時間を過ごせます。ここでは、妊娠中に気をつけたい具体的な注意点をまとめました。

お湯の温度と入浴時間

妊娠中は体温の変化に敏感になるため、ぬるめのお湯が適しています。お湯の温度は38~40度が目安で、熱すぎると体に負担がかかることがあります。また、長時間の入浴はのぼせや脱水の原因になるため、10〜15分程度を目安にしましょう。お風呂に入る前に体調を確認し、途中で息苦しさやめまいを感じたら、すぐに出ることも大切です。

転倒に注意

妊娠中はお腹が大きくなるにつれ、重心が変わり転びやすくなります。お風呂場は床がすべりやすく危険が多いため、滑り止めマットを敷いたり、手すりを活用するなど、転倒防止の工夫がおすすめです。浴槽に入るときや出るときは、ゆっくり動いて支えがある場所を確認しながら行動しましょう。家族が近くにいる時間帯に入浴するのもおすすめです。

入浴前後の水分補給を適切に行う

入浴中は思っている以上に汗をかき、体内の水分が失われやすくなります。特に妊娠中は血流や代謝が変化しているため、こまめな水分補給が必要です。入浴前にコップ1杯、入浴後にも1杯の水を飲むことで、脱水予防になります。冷たすぎる水は体を冷やしてしまうので、常温か白湯がおすすめです。のどが渇いていなくても、意識して水分を取るようにしましょう。

体調が悪いときは無理せず入浴を控える

お風呂は気分転換になりますが、体調がすぐれないときは無理をしないのが第一です。頭痛や立ちくらみ、お腹の張りなどの症状がある場合は、入浴を避けて休むのが賢明です。無理に入ると、かえって症状が悪化することもあります。どうしても汗を流したいときは、短時間のシャワーで済ませるのも選択肢です。自分の体の声に耳を傾けて、無理なく過ごしましょう。

まとめ

妊娠中は、ほんの少しの変化にも心やからだが敏感になります。

「この入浴剤、使って大丈夫かな…?」そんな迷いも、決して特別なものではありません。

正解がわからなくても、ゆっくりと、自分に合う方法を見つけていけば大丈夫。

バスタイムが、心とからだをそっと整える時間となりますように。

mi(ミィ)は、そんなやさしい日々の積み重ねを、これからも見守り続けていきます。

今日もあなたが、自分を大切にできる時間と出会えますように。