Vol.73

生理中にだるいと感じるのはなぜ?つらい日の過ごし方もご紹介【医師監修】

  • 2026.10.29
  • m.i journal vol.73
  • コラム

西野 枝里菜さん産婦人科専門医

東京大学理学部生物学科を卒業後、同大学薬学部薬科学専攻修士課程を修了。名古屋大学医学部医学科を卒業し、JCHO東京新宿メディカルセンターで初期研修を行う。その後、都立大塚病院で産婦人科後期研修を修了し、久保田産婦人科病院に勤務。基礎科学から臨床医学に至る幅広い学びと経験を活かし、産婦人科医として女性の健康を支えている。
資格:産婦人科専門医/母体保護法指定医/日本医師会認定産業医

生理中になると体が重く、何をするにもだるいと感じる方は少なくありません。眠気や冷えまで重なると、仕事や家事が思うように進まず、気持ちまで沈んでしまうこともあるでしょう。周囲からは見えにくい不調だからこそ、「これくらい我慢しないと」と無理をしてしまう場合もあります。この記事では、生理中のだるさが起こる原因をはじめ、眠い理由や冷えとの関係、やってはいけない対策、無理せず整えるコツまでやさしく解説します。つらい日の体にどんな変化が起きているのかを知り、少しでも穏やかに過ごすヒントを見つけてくださいね。

生理中にだるさが出やすいのはなぜ?

生理中のだるさは、気のせいではありません。体の内側ではホルモンの動きや出血、痛みへの対応が重なり、普段より多くのエネルギーを使いやすくなっています。さらに、いつも通りに過ごそうと頑張るほど、疲れのサインを見逃しやすくなることもあります。朝から重さを感じたり、午後になると急にしんどくなったりするのも、自然な反応のひとつです。まずは「今は回復に力を使っている時期かもしれない」と受け止めることが、心身をいたわる第一歩になるでしょう。

ホルモンバランスが変わるから

生理前から生理中にかけては、女性ホルモンの変化に合わせて体温や自律神経の働きもゆらぎやすくなります。その影響で体がうまく切り替わらず、重だるさや気分の落ち込みとしてあらわれることもあります。寝起きに体が動きにくい、やる気が出にくい、少しのことで疲れたように感じるといった変化も、このゆらぎが関わっている場合があるでしょう。また、同じ生理中でも月によってつらさの出方が違うことがあり、「前は平気だったのに今回はしんどい」と感じるのも珍しくありません。これは気合いや根性の問題ではなく、体がホルモン変化に反応しているサインと考えられます。

出血や痛みで体力が奪われやすいから

出血が続く時期は、体がいつもより消耗しやすい状態です。腹痛や腰の重さがあると眠りも浅くなりがちで、回復に必要な休息が足りず、疲れが抜けにくくなる場合もあるでしょう。とくに経血量が多い日や痛みが強い日は、座っているだけでも体力を使いやすいため、普段より早めに休憩を入れる工夫が助けになります。痛みをこらえて過ごしていると、無意識に肩やお腹に力が入り続け、さらに疲労感が増すこともあります。立ち仕事や移動が多い日は、短時間でも座る、深呼吸する、水分をとるといった小さな休息を意識するだけでも負担を軽くしやすくなります。

生理中の眠気や集中しづらさとの関係

だるさと一緒に、強い眠気や頭のぼんやり感を覚える人も少なくありません。しっかり寝たつもりでも眠いときは、単なる寝不足だけでなく、生理中ならではの体調変化が関わっている可能性があります。言葉がすぐに出てこない、細かな作業でミスが増える、考えがまとまりにくいといった形で気づくこともあるでしょう。集中できない自分を責める前に、まずは背景を知っておくことが安心につながります。

生理中は睡眠の質が下がりやすい

生理中はお腹の張りや痛み、経血漏れへの不安などで、夜中に何度か目が覚めることがあります。睡眠時間が足りていても質が下がると、日中に強い眠気が出やすくなり、だるさにもつながります。朝すっきり起きられない日は、カーテンを開けて光を浴びる、温かい飲み物をとる、短時間でも横になるなど、やさしい切り替えを意識してみましょう。夜中に目が覚める回数が多いと、本人が思う以上に回復が追いつかないことがあります。昼休みに数分目を閉じる、帰宅後に予定を詰め込み過ぎないといった調整も、睡眠不足を悪化させないために役立ちます。

食事の偏りも集中力低下の原因

甘い物や炭水化物だけで食事を済ませると、食後に眠気やぼんやり感が出ることもあります。空腹を我慢し過ぎた反動で一度に食べると、さらに体が重く感じられる場合もあるでしょう。無理に頑張ろうとするほど集中は続きにくいので、作業を細かく区切る工夫が助けになります。たとえば、おにぎりだけで終わらせずに卵や豆乳、ヨーグルト、味噌汁などを組み合わせると、食後のだるさを和らげやすくなります。忙しい日は完璧な食事を目指すのが難しいこともあるので、まずはたんぱく質や温かい物を何かひとつ足すことから意識してみるとよいでしょう。

冷えが生理中のつらさを強めることはある?

生理中に手足が冷えたり、お腹まわりがひんやりしたりすると、つらさが増したように感じることがあります。冷えは不快感を強めるだけでなく、体がこわばってリラックスしにくくなる原因にもなるため、無理のない範囲で温かく過ごすことを意識してみましょう。夏の冷房や雨の日の湿気、薄着の時間が長い日なども影響しやすいため、特に冷えやすい人は、だるさとのつながりを意識してみるとよいかもしれません。

お腹や足元の冷えが重だるさにつながる

体が冷えると筋肉がこわばりやすくなり、お腹や腰まわりの違和感が強まる場合があります。その結果、動くのがおっくうになって、だるさまで深く感じやすくなることもあるでしょう。デスクワークで同じ姿勢が続く日ほど巡りが滞りやすいため、足首を回す、ひざ掛けを使うなど小さな工夫を重ねることが助けになります。特に足先が冷えやすい人は、冷えを感じる前から靴下やレッグウォーマーで備えておくと負担を減らしやすくなります。長時間座りっぱなしの日は、一時間に一度立ち上がって軽く体を動かすだけでも、重だるさの感じ方が変わることがあります。

冷たい飲食や薄着は不調につながる

冷たい飲み物ばかり選んだり、薄着のまま長時間過ごしたりすると、体が温まりにくくなります。冷房の効いた室内では、自分が思っている以上に足元やお腹まわりが冷えやすくなるものです。特に足首やお腹まわりは冷えやすいので、腹巻きやひざ掛けを使ったり、温かい飲み物を選んだりしながら、冷えから体を守ることがつらさを和らげる助けになります。夏でも羽織り物を一枚持っておく、素足で過ごす時間を短くするといった対策は、外出先でも取り入れやすい方法です。無理のない範囲で、体を冷やさない工夫を取り入れてみましょう。

つらい日にやってはいけない対策

つらいときほど、早く何とかしたい気持ちになりやすいものです。ただ、自己流の対策がかえって体の負担になることもあります。生理中のだるさや眠気、冷えがある日に避けたい行動を知っておくと、症状をこじらせにくくなるでしょう。

カフェインで無理に眠気を飛ばそうとする

生理中の眠気がつらいと、コーヒーやエナジードリンクで無理にシャキッとしようとしたくなるかもしれません。ただ、とり過ぎると胃がむかついたり、体が冷えやすくなったり、夜の眠りに影響したりする場合もあります。眠気が強い日は、温かい飲み物や短い休憩でやさしく整えるほうが負担を減らしやすいでしょう。特に午後の遅い時間にカフェインを重ねると、その日の夜に寝つきにくくなり、翌日のだるさを引きずることもあります。飲むとしても量や時間帯を意識し、水分補給や軽いストレッチと組み合わせるほうが、体には穏やかです。

急に冷やす、熱すぎるお風呂に入る

キンキンに冷えた飲み物で体を冷やすことや、逆に熱すぎるお風呂で一気に温めようとすることも避けたいところです。刺激が強すぎると、かえってしんどさや立ちくらみにつながる場合もあります。ぬるめの飲み物や短い休息で整えるほうが体にはやさしいでしょう。熱いお風呂は一時的にすっきりしたように感じても、のぼせや疲労感につながることがあります。入浴する場合は、熱すぎない温度で短めにし、湯上がりは水分を補給しながらゆっくり休むことを心がけてみましょう。

生理中の体をいたわる過ごし方

生理中は、がんばることよりも整えることを優先してよい時期です。横になるだけが休息ではなく、予定の立て方や体の使い方を少し変えるだけでも、負担を減らせる場合があります。朝の支度を簡単にする、買い物はまとめて済ませる、人に頼れることは頼るなど、生活全体の負荷を少し下げる工夫も助けになるでしょう。無理せず、できる範囲で体をいたわる意識があるだけでも、気持ちは少し軽くなっていきます。

温かく過ごして体の緊張をゆるめる

生理中は冷えや緊張で、お腹や腰まわりがこわばったように感じることがあります。そんなときは、ひざ掛けや腹巻きで体を冷やさないようにしながら、温かい飲み物やぬるめのお風呂でゆっくり過ごしてみましょう。少しずつ体がゆるむと、だるさもやわらぎやすくなります。使い捨てカイロを使う場合は、低温やけどを防ぐために直接肌に当てないことも大切です。温めることを目的にしつつ、刺激を強くし過ぎないことが、つらい日の体にはおすすめです。

家事や予定は七割くらいで考えてみる

家事や仕事を普段通りの百点でこなそうとすると、心まで疲れてしまいがちです。生理中は七割できれば十分と考え、後回しにできることを選ぶだけでも、体の緊張をゆるめやすくなります。洗濯物をたたむのは後でよい、夕食は簡単なものでよいと自分に許可を出すことも、立派なセルフケアになります。予定を詰め込み過ぎない、移動の多い用事は別日に回すなど、先回りして負担を減らす考え方も有効です。自分に甘いのではなく、その時期の体力に合わせて配分を変えているだけだと考えてみてください。

食事・睡眠・入浴で整えたいこと

毎日の食事や眠り、入浴のしかたも、生理中のだるさに関わります。特別なことをたくさんする必要はありません。冷えや眠気を強めにくい基本を押さえておくと、つらい日の波を少し穏やかにしやすくなるでしょう。朝昼晩のリズムを大きく崩し過ぎないことも、体調の揺れを小さくする助けになります。すぐに完璧を目指さず、ひとつずつ試していきましょう。

温かい食事とこまめな水分で体を支える

食事は、温かい汁物やたんぱく質、鉄分を含む食品を意識しながら、空腹の時間を長くし過ぎないことがポイントです。たとえば卵、豆腐、魚、赤身の肉、ほうれん草などを無理のない範囲で取り入れると、食事の偏りを防ぎやすくなります。甘い物だけで済ませず、こまめに水分もとると、ふらつきや重だるさの予防に役立つでしょう。食欲が落ちている日は、雑炊やスープ、うどんに卵を足すなど、食べやすさを優先した形でも十分です。何を食べるかだけでなく、抜き過ぎないことそのものが体を支える基本になります。

短めの入浴と早めの就寝で回復を助ける

寝る前のスマートフォンを短めにし、ぬるめのお風呂で体をゆるめると、眠りの質を整えやすくなります。足元が冷えやすい人は、湯たんぽや靴下を上手に使うのもよい方法です。長風呂や夜更かしは疲れを残しやすいため、短くても早めに休む意識を持ってみましょう。入浴は就寝の直前よりも、少し前に済ませておくほうが落ち着いて眠りに入りやすいことがあります。すぐに寝るのが難しい日でも、いつもより少し早めに横になるだけで、体を休める時間を確保しやすくなるでしょう。

つらい日をひとりで抱え込まないために

だるさや眠気は外から見えにくいため、ついひとりで抱え込みやすいものです。けれど、生理中の不調は我慢比べではありません。周囲への伝え方を工夫したり、自分の体調を記録したりしておくと、つらい日の負担を減らしやすくなります。家族や職場、学校に少し共有しておくだけでも、急につらくなった日に相談しやすくなるでしょう。

つらさを言葉にしてみる

ただ「しんどい」と言うよりも、眠気が強い、立ちっぱなしがつらい、冷えると悪化しやすいなど具体的に伝えると、周囲も理解しやすくなります。必要な休憩を取りやすくなり、無理のし過ぎを防ぎやすくなります。たとえば「少し座って休めば続けられる」「今日は重い物を持つ作業がつらい」といった伝え方にすると、周囲も配慮の仕方を考えやすくなります。全部を詳しく話さなくても、自分が今困っていることを短く言葉にするだけで十分です。

記録をつけて自分の傾向を見てみる

だるさが強い日、眠気が出やすい時間帯、冷えや食事との関係を簡単にメモしておくと、自分のパターンが見えやすくなります。次の周期に向けて備えやすくなり、受診時の相談材料にもできるでしょう。手帳でもスマートフォンのメモでもよいので、続けやすい方法を選ぶことが大切です。症状の強さ、経血量、生活への影響をひとこと添えるだけでも、後から振り返ったときに変化に気づきやすくなります。

病院に相談したい目安

多くのだるさは周期に伴う変化として見られますが、我慢し続けなくてよい不調もあります。いつもの生理と比べてつらさが強い、長く続くといったときは、早めに婦人科を受診しましょう。受診のハードルを高く考え過ぎず、気になる変化を整理して伝えてみましょう。受診時には、いつからだるさが強いか、経血量や痛み、眠気の強さなどをメモしておくと相談しやすくなります。

だるさが強く日常生活に支障が出るとき

だるさが強くて起き上がれない日が続く、学校や仕事を休むことが増えた、眠気や痛みで生活に支障が出るときは、婦人科などで相談してみましょう。毎回の生理で寝込む、鎮痛薬を使っても日常生活が難しいといった場合も、ひとりで抱え込まず専門家を頼ることが大切です。背景にほかの不調が隠れている可能性もあります。特に、これまでより急につらさが強くなった場合や、生理のたびに悪化しているように感じる場合は、早めの相談が安心につながります。受診は大げさではなく、生活を守るための選択肢のひとつです。

めまい、息切れ、経血量の多さが気になるとき

経血量が急に多くなった、めまいや息切れ、動悸がある、顔色の悪さが気になるといった場合も受診の目安になります。ナプキンを替える回数が極端に多い、レバーのような塊が続くといった変化も見逃したくありません。貧血傾向が関わることもあるため、ひとりで抱え込まず相談することが大切です。階段で息が上がりやすい、立ち上がるとふらつく、朝から強いだるさが抜けないといった状態が続くときも注意したいサインです。いつもの生理との違いを感じたら、早めに受診の目安として考えてみましょう。

まとめ

生理中のだるさや眠気、冷えは、体が周期に合わせて変化しているなかで起こる一時的なものの場合もあります。つらい日に思うように動けなくても、自分を責める必要はありません。まずは休む目安を知り、避けたい行動を減らしながら、食事や眠り、冷え対策を少しずつ整えていけるとよいでしょう。いつもと違うつらさが続くときは、早めに相談先を持つことも安心につながります。

m.i(ミィ)は、生理中の不調に戸惑うあなたの気持ちに、そっと寄り添いたいと考えています。がんばれない日があっても大丈夫。できることをひとつずつ選びながら、自分にやさしく過ごせますように。