Vol.71

【医師監修】生理前の強い眠気はなぜ? 倦怠感や疲労感との向き合い方

  • 2026.9.18
  • m.i journal vol.71
  • コラム

西野 枝里菜さん産婦人科専門医

東京大学理学部生物学科を卒業後、同大学薬学部薬科学専攻修士課程を修了。名古屋大学医学部医学科を卒業し、JCHO東京新宿メディカルセンターで初期研修を行う。その後、都立大塚病院で産婦人科後期研修を修了し、久保田産婦人科病院に勤務。基礎科学から臨床医学に至る幅広い学びと経験を活かし、産婦人科医として女性の健康を支えている。
資格:産婦人科専門医/母体保護法指定医/日本医師会認定産業医

生理前になると、強い眠気やだるさ、疲れが抜けにくい感覚に戸惑う方は少なくありません。この記事では、生理前に眠くなりやすい理由や、妊娠中・産後にも重なりやすい体調のゆらぎ、毎日の中でできる整え方を紹介します。無理せず読める内容なので、今の自分に合うヒントを見つけてみてくださいね。

生理前に眠気や倦怠感が出やすいのはなぜ?

生理前の眠気や倦怠感には、気持ちの問題ではなく、体のリズムが深く関わっています。毎月くり返される不調だからこそ、「また自分だけつらいのかな」と抱え込まず、まずは起こりやすい背景を知ることが助けになるでしょう。

ホルモンのゆらぎで眠気が強まる

生理前は女性ホルモンの変動が大きく、脳や自律神経の働きもゆらぎやすくなります。その影響で、夜に眠ったはずなのに日中もぼんやりしたり、強い眠気に襲われたりすることがあります。PMS(月経前症候群)の一部として感じる場合もあるでしょう。

体温変化がだるさにつながる

生理前は高温期が続くため、体がいつもより熱をため込みやすくなります。うまく休めていないような感覚や、朝から重だるい感じにつながることも。少し動いただけで疲れやすいのは、体が休息を求めているサインかもしれません。

生理前の眠気とほかの不調はどう重なる?

眠気だけならまだしも、気分の落ち込みや頭の重さまで重なると、日常はぐっと過ごしにくくなります。生理前の不調はひとつだけで起こるとは限りません。複数のサインが重なりやすいことを知っておくと、少し構えやすくなります。

イライラや気分の落ち込みを伴うことも

眠気が強い時期は、思うように動けない自分に焦ってしまい、気分まで沈みやすくなります。小さなことに敏感になったり、家事や仕事が進まず落ち込んだりすることもあるでしょう。心のゆらぎも体の変化の一部と捉えることが、負担を軽くする助けになります。

頭痛や冷えで疲労感が増す場合も

生理前は血流の変化や自律神経の乱れから、頭痛や肩こり、手足の冷えを感じやすくなることがあります。こうした不快感が重なると、眠気そのものより「何もできない疲れ」として表れやすくなるもの。体を温めてめぐりを意識することも大切でしょう。

眠気を強めやすいNG習慣

生理前の眠気は体のリズムによるものですが、日々の過ごし方によってつらさが大きくなることもあります。がんばり屋さんほど無意識に負担を重ねやすい時期だからこそ、まずは悪化につながりやすい習慣をやさしく見直してみましょう。

カフェインに頼りすぎる

眠気をどうにかしたくてコーヒーやエナジードリンクに頼りすぎると、その場はしのげても夜の眠りが浅くなる場合があります。結果として翌日さらにだるくなり、悪循環につながることも。取り入れるなら量や時間帯を意識するのがおすすめです。

がんばりすぎて夜更かしをする

生理前でも普段通りに動こうとして予定を詰め込みすぎると、体は休むタイミングを失いやすくなります。さらに夜更かしが続けば、回復しきれないまま朝を迎えることに。今だけは少しペースを落とす意識が、翌日の過ごしやすさにつながります。

日中を少し楽にする過ごし方

強い眠気がある日に無理を重ねると、心まですり減ってしまうことがあります。だからこそ大切なのは、気合いで乗り切ることより、日中の負担を少し軽くする工夫です。大きく変えなくても、できる範囲の調整で楽になる場合があります。

短い休憩で体を落ち着ける

長く休めなくても、数分だけ目を閉じたり、深呼吸したり、肩の力を抜くだけで体は少し落ち着きます。昼休みに席を立って軽く伸びをするのもよいでしょう。短い休憩をこまめに入れることが、午後のだるさをやわらげる助けになります。

予定を詰め込みすぎず優先順位をつける

生理前は集中力が落ちやすいため、いつも通りの量をこなそうとすると疲れが強まりやすくなります。「今日やること」と「後でもよいこと」を分けるだけでも、気持ちはかなり軽くなるはず。家事も仕事も、優先順位をつけてできることからこなしていきましょう。

食事と飲み物で意識したいこと

眠気や疲労感が強いときほど、食事を抜いたり甘いもので急いで済ませたりしがちです。ただ、食べ方や飲み物の選び方を少し整えるだけでも、気分の波がゆるやかになることがあります。完璧でなくてよいので、続けやすさを大事にしましょう。

血糖値の乱高下を防ぐ食べ方を意識する

空腹の時間が長すぎたり、甘いものだけで済ませたりすると、食後に眠気やだるさが強まることがあります。主食にたんぱく質や野菜を添え、少しずつ食べる工夫は体の安定につながります。忙しい日はおにぎりとゆで卵など簡単な組み合わせでも十分です。

温かい飲み物でほっとする時間をつくる

冷えや緊張が続いていると、体のこわばりから疲れが抜けにくくなることがあります。白湯やノンカフェインのお茶など温かい飲み物をゆっくり飲む時間は、気持ちを整えるきっかけになるでしょう。ほっとひと息つくことも大切なセルフケアです。

夜の過ごし方を整えて眠りの質を守る

日中の眠気がつらいと、たくさん寝れば解決しそうに思えるかもしれません。けれど大切なのは時間の長さだけでなく、眠る前の整え方です。夜の過ごし方を少し見直すことで、朝の重だるさが和らぐことも期待できるでしょう。

入浴や照明の工夫で眠る準備をする

ぬるめのお湯にゆっくりつかる、部屋の明かりを少し落とすなど、体に「休む時間だよ」と伝える工夫は眠りの質を守る助けになります。熱すぎるお湯や明るすぎる照明は、かえって目がさえることも。無理のない範囲で整えてみましょう。

スマホ時間を見直して休みやすくする

寝る直前までスマホを見る習慣があると、頭が休まりにくくなり、眠ってもすっきりしない朝につながる場合があります。難しければ、就寝前の10分だけでも画面から離れてみましょう。音楽を流す、目元を温めるなど別の習慣に置き換えるのもおすすめです。

受診を考えたいサインと相談先

生理前の眠気や倦怠感はよくある悩みですが、我慢を重ねすぎる必要はありません。日常生活に影響が大きいときや、専門家を頼ることも大切です。ひとりで抱え込まないことが安心につながります。

日常生活に支障が出るほどつらいとき

仕事や家事がほとんど手につかない、起き上がるのもつらいほどの眠気や疲労感が続くときは、一度相談を考えてみましょう。生理前の不調と思っていても、ほかの要因が重なっている場合もあります。記録をつけて受診時に伝えるのも役立ちます。

まとめ

生理前の眠気や倦怠感は、ホルモンバランスの変化によって起こりやすい一時的なサインのひとつです。思うように動けない日があっても、自分を責める必要はありません。十分な休息を取りながら、自分の体調に合わせて無理なく過ごすことが大切です。

m.i(ミィ)は、生理前の眠気やだるさに戸惑う方にそっと寄り添いたいと考えています。つらい日は、立ち止まって体をいたわることも大切な選択です。小さくても気持ちが軽くなる工夫を見つけながら、あなたらしく穏やかな毎日を重ねていけますように。