Vol.01

ライフスタイルの違いは
どのくらいしょいこみに影響する?

  • 2024.4.15
  • m.i journal vol.01
  • コラム

八田 真理子さん聖順会
ジュノ・ヴェスタ・クリニック 八田
理事長・院長

1965年7月生まれ。千葉県松戸市出身。産婦人科医。聖マリアンナ医科大学医学部卒業後、順天堂大学、千葉大学、松戸市立病院産婦人科勤務を経て、1998年実父が開院した「八田産婦人科」を継承し、地域に密着したクリニック「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」として開院。思春期から老年期まで幅広い世代の女性の診療・カウンセリングを行っている。1日80人以上の患者さんを診察し、女性のヘルスケアに関する相談会やセミナーなどを通じて、性教育・不妊・更年期などの正しい知識の啓蒙にも積極的に取り組んでいる。著書に『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』(アスコム)、『思春期女子のからだと心 Q&A』(労働教育センター)など。

ライフスタイルごとのしょいこみについて

単身者と家族持ち(独身、結婚)による違いは?

男性は独身の人の方が寿命が短いことがデータでわかっていますが、女性は独身・既婚で寿命に差がないといわれています。ご自身がそのライフスタイルに満足していらっしゃるのであれば、独身、既婚どちらも幸せだと思います。たとえば、結婚したいのにできない、したくないのにさせられたというのはつらいかもしれません。

これからの時代は、より多様な生き方ができる時代になってくると思います。女性は男性より長生きするということも考えて、自分のライフスタイル、ライフイベントを考えていただければいいなと思います。

キャリア(フルタイム、パート、管理職)による違いは?

働き方は自分のペースで選べばいいと思います。女性は特に管理職にはあまりなりたくないという方が多いようですね。社会では女性の管理職を増やそうという流れがありますが、ご自分で選んでいただくのがいいと思います。フルタイムだからつらい、パートだから楽ということもないと思います。

ただ、管理職やフルタイムで働いていると責任が重くなるため、ストレスで月経トラブルや更年期症状が強くなり、仕事に影響が出てしょいこむ方ももいらっしゃいます。そのような場合には治療が必要だと思います。

定期的に運動する人としない人による違いは?

運動はどのお薬よりも効きます。ただし、過度な運動はよくないです。かえって活性酸素が高くなって老けることがあるからです。30分以上、週3回以上、できれば有酸素運動と無酸素運動を定期的にすることをおすすめします。

私はスポーツジムで汗を流しています。少し軽めの筋トレをすると男性ホルモンが出るんです。成長ホルモンも出るといわれていてスッキリします。姿勢も良くなってお腹も引っ込むし、腰痛も減るのですごくいいですね。有酸素運動は、私はエアロビクスやボディコンバットをやっています。30分以上の有酸素運動は血流が良くなって、今まで冷えていた抹消が温かくなるし、頭がすっきりします。体を動かせば、脳が活性化していいアイデアが浮かんできますし、新陳代謝も上がるので若返ります。運動は絶対いいです。

趣味など楽しく打ち込めることがある人とない人による違いは?

趣味があると、人付き合いができますね。特に女性はおしゃべりをしたり、愚痴を聞いてもらったりすることで、元気になる方が多いです。女性は話をすればスッキリして元気になります。私は歌を歌ったり、楽器を演奏したりすると達成感がありますね。コミュニティができることもいいですし。家事やお仕事だけではなく、何か1つか2つ趣味を持つことはいいのではないかなと思います。ぜひ打ち込むことを持っていただきたいですね。

ダイエットしている人としていない人の違いは?

更年期にやせるとすごく老けますし、がんや心筋梗塞のリスクが高くなります。更年期以降は女性ホルモンが減ってくるので、それを代償しようとしてコレステロールが上がります。それが脂肪として蓄えられてお腹周りや腰周りに皮下脂肪が増えてきますが、それは当然なことであって、悪いことではないです。でも、太りすぎると動脈硬化になります。少しポッチャリぐらいがいいといわれています。それが一番長生きです。

骨密度のピーク(ピークボンマス)は20~22歳ぐらいです。女性ホルモンのピークと骨密度のピークは一緒です。その時期にダイエットをして女性ホルモンが上がらないと、一生骨が弱いままになってしまいます。骨密度が減って骨粗しょう症になると、骨折、転倒、寝たきりになる可能性があります。健康寿命を延ばすためにも、無理なダイエットをするのではなく、バランスの良い食事、適度な運動を心がけましょう。

あらゆる年代の女性たちが「しょいこみ」と向き合いながら「私」らしく輝けるよう、これからも寄り添っていきたいと思います。