Vol.36

産後の頭皮が痛い…これって普通?考えられる原因と正しいケア方法【医師監修】

  • 2025.10.30
  • m.i journal vol.36
  • コラム

出産を終えてしばらくたったころ、「なんだか頭皮がヒリヒリする」そんな違和感に、不安を覚えている方もいるかもしれません。育児や寝不足が続くと、自分の体の小さな変化に気づいても、なかなかケアまで手が回らないものですよね。この記事では、産後の頭皮の痛みの原因や避けたいシャンプー、やさしく続けられるケア方法までを医師監修のもとで解説します。あなたの不安が少しでも軽くなりますように。

産後に頭皮が痛くなるのはなぜ?

産後の頭皮の痛みには、ホルモンバランスの変化や生活習慣の乱れ、環境からの刺激など、さまざまな要因が関係しています。特に出産後の体はとてもデリケートで、わずかな変化にも敏感になりがち。いつもは気にならないような刺激が、「痛み」として感じやすくなることがあるのです。まずは、どんな原因が考えられるのかを見ていきましょう。

ホルモンバランスの変化による影響

妊娠・出産を経ることで、女性の体は大きく変化します。産後は、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌が急激に減るため、頭皮のうるおいを保ちにくくなり、乾燥やかゆみ、ヒリヒリとした痛みが出やすくなります。特に産後2〜3ヶ月の時期は、抜け毛が増えるタイミングでもあり、頭皮トラブルを感じやすい時期。一時的なものではありますが、乾燥を防ぐケアを心がけることで、痛みの軽減にもつながります。

乾燥やフケで頭皮が刺激を受けている

頭皮の乾燥やフケは、肌のバリア機能が低下しているサインです。バリアが弱くなると、普段は問題のないシャンプーや空気の乾燥でも刺激になり、ヒリヒリとした痛みにつながることがあります。特に冬場や空調の効いた室内では頭皮が乾燥しやすく、フケが出やすくなるため注意が必要です。

紫外線ダメージが蓄積している

顔や体と同じように、頭皮も紫外線の影響を受けています。外に出ることが多い産後のママは、赤ちゃんのお散歩中などに紫外線を浴びやすく、気づかないうちにダメージが蓄積していることも。頭皮がヒリヒリする・赤くなるといった症状がある場合は、紫外線の影響も疑ってみましょう。帽子や日傘など、肌と同じように頭皮のUV対策も大切です。

育児疲れやストレスによる血行不良

産後の育児疲れや寝不足、ストレスは、血流の悪化を引き起こす原因になります。頭皮の血行が悪くなると、栄養や酸素が行き渡りにくくなり、神経が過敏になって痛みを感じやすくなることが少なくありません。また、肩こりや首こりがある場合も、頭皮の緊張が強まり、違和感や圧迫感を覚えるケースもあります。

産後の頭皮の痛みと抜け毛には関係がある?

「頭皮が痛いけど、抜け毛も増えてる…これって関係あるの?」そんな不安を感じる方も少なくありません。実際、産後の痛みと抜け毛は同じ時期に起こりやすいものの、直接的な因果関係があるとは限りません。どちらも、ホルモンバランスの変化や体調・心の状態が影響しています。「痛いから髪が抜ける」というわけではないので、まずは落ち着いて、症状ごとにできるケアを丁寧に続けていきましょう。

頭皮が痛いときに避けたいシャンプー

頭皮に痛みを感じるときは、使っているシャンプーが刺激になっている可能性があります。特に産後は皮膚が敏感になりやすいため、成分や使用感の強い製品は注意が必要です。強すぎる洗浄成分や清涼感のある添加物が、知らず知らずのうちに頭皮を傷めている場合もあります。ここでは、避けたほうがよいシャンプーの特徴について具体的に解説します。

洗浄力の強いシャンプー

産後に頭皮が痛いと感じる場合、洗浄力が強すぎるシャンプーの使用は避けましょう。ラウレス硫酸Naなどの成分が含まれるタイプは、皮脂を必要以上に取り除いてしまい、頭皮のバリア機能を低下させます。結果として乾燥しやすくなり、ちょっとした刺激でもヒリヒリと痛みを感じるようになります。泡立ちがよくてスッキリするタイプほど、洗浄力が強い傾向にあるため注意が必要です。

メントールやアルコール入りのシャンプー

スーッとした清涼感があるシャンプーは、痛みがある頭皮には刺激が強すぎる場合があります。メントールやアルコールは一時的に気持ちよく感じられることもありますが、敏感になっている肌には負担になる場合があります。特に産後は、ホルモンの変化で頭皮の感覚が過敏になっているため、使用後にヒリヒリしたり赤くなったりするケースも。無香料・ノンアルコールのやさしい処方を選ぶと安心です。

頭皮の痛みをやわらげるためにできる日常ケア

産後の頭皮トラブルは、毎日のちょっとした工夫でやわらぐことがあります。特別なアイテムがなくても、洗い方や乾かし方、生活習慣を見直すだけで、頭皮の状態が整いやすくなります。育児で忙しい中でも無理なく取り入れられる対策を選ぶのが大切です。

洗い方と乾かし方を少し工夫してみる

頭皮の痛みを感じるときは、洗い方や乾かし方にも注意が必要です。ゴシゴシと強くこするのではなく、指の腹で優しくマッサージするように洗うのがポイントです。お湯の温度は38〜40度を目安にし、熱すぎるお湯は避けてください。シャンプー後にリンスやコンディショナー、トリートメントを使う場合は、残らないようにしっかりすすぎましょう。その後、タオルでポンポンと水気を取って、ドライヤーで根元からやさしく乾かしましょう。濡れたまま放置すると雑菌が繁殖し、かゆみや炎症を悪化させることもあります。

頭皮を温めてこわばりをやさしくほぐす

血行不良で頭皮がこわばっていると、軽い刺激でも痛みを感じやすくなります。そんなときは、蒸しタオルなどで頭皮を温めてから、やさしく指で円を描くようにマッサージすると効果的。お風呂上がりなど血流がよくなっているタイミングがおすすめです。力を入れすぎず、気持ちいいと感じる範囲で行いましょう。こわばりがゆるむと、痛みが和らぎ、リラックス効果も期待できます。

睡眠と栄養で体の回復をサポートする

産後の体は回復途中で、頭皮も例外ではありません。十分な睡眠と栄養バランスのとれた食事をとれば、頭皮の健康を内側から支えることができます。ビタミンB群や亜鉛、鉄分など、皮膚や髪に関わる栄養素を意識して摂りましょう。夜泣きで睡眠時間がとりにくい場合は、短時間でも質のよい睡眠を心がけてください。体が整うと自然と頭皮のコンディションも安定しやすくなります。

頭皮の痛みが強いときや長引くときの対処法

「いつかよくなるはず…」と思っていても、なかなか改善しない頭皮の痛み。そんなときは、がんばりすぎずに専門的な対処を考えてみることも大切です。産後は心も体もとても繊細な時期。頭皮トラブルも、気づかないうちに悪化してしまうことがあります。つらさが続くときは自己判断に頼らず、正しい知識とやさしいケアで無理なく向き合っていきましょう。

セルフケアが難しいときは市販薬も選択肢に

乾燥やかゆみ、炎症などがつらいときは、市販の薬用ローションやかゆみ止めが助けになることもあります。とくに、ステロイドを含まないタイプは、産後の敏感な肌にも使いやすい設計になっているものが多く安心です。ただし、授乳中の場合は成分選びに注意が必要です。購入前に薬剤師に相談するとより安全に使えます。症状が軽度で一時的なものであれば、市販薬で落ち着くこともありますが、痛みが強くなったり、使用中に肌トラブルが起きた場合はすぐに使用を中止しましょう。

改善しないときは皮膚科で診察を受ける

もしも頭皮の痛みが数日以上続いたり、膿・出血がある、触れるだけで強い痛みがある、などの症状がある場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。ホルモンバランスの乱れだけでなく、アレルギー反応や脂漏性皮膚炎など、専門的な治療が必要なケースもあります。「育児中で忙しくて病院に行く余裕がない…」という方も多いかもしれませんが、受診することで原因がはっきりし、不安が和らいで、気持ちが少し楽になれるはずです。自己判断で長引かせる前に、一度専門医に相談してみてくださいね。

まとめ

出産後に頭皮のヒリヒリした痛みを感じると、不安になることもあります。見た目ではわかりづらい変化だからこそ、「どうしたらいいの?」と戸惑ってしまうのも無理はありません。

m.i(ミィ)は心も体もゆらぎやすいときだからこそ、あなたをそっと支えたいと考えています。無理に全部を整えようとせず、できることから少しずつ始めていくことで、心も体もゆるやかに整っていくはずです。